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「中国専利審査指南改正草案(再度の意見募集稿)」におけるハーグ協定加入後の意匠国際出願についての解釈

目次

要旨:中国国家知識産権局は、10月31日に「専利審査指南改正草案(再度の意見募集稿)」を公表し、社会各界の意見を募集している。本文では、改正草案において「ハーグ協定」加入後の意匠国際出願について検討する。

中国国家知識産権局は、10月31日に「専利審査指南改正草案(再度の意見募集稿)」(以下「本草案」という)を公表し、社会各界の意見を募集している。今回の「再度の意見募集稿」は、2021年8月3日に公表の「意見募集稿」(以下「前草案」)に対するものである。以下「本草案」と「前草案」との違いに対し「ハーグ協定」加入後の意匠国際出願について検討していきたい。
両草案は、意匠国際出願に関する枠組みは変わらず、いずれも二つ章が設けられている。第1章において国際登録出願の事務処理に関する規定を、第2章において国際登録出願の審査に関する規定を定めた。本文では、主に実質的な内容の改正について説明し、表現など形式上の問題についての説明は省略する。

提出ルートについて

前草案では「国家知識産権局に指定される部門に提出する場合、紙形式の書類を提出してもよく、電子ファイル形式の書類を指定の方法で提出してもよい」と規定されている。それに対し本草案では、この記載を削除し「国際手続きにおいて、後の他の書類は世界知的所有権機関国際事務局(以下、「国際事務局」という)に直接提出しなければならない」と改正した。
この改正は、前草案に比べ、書類の最終提出先が国際事務局であることのみを確定し、書類の提出部門や提出形式などの詳細を削除した。これにより、後の提出手続きの変更による「審査指南」への全体レベルの改正を防ぐことができ、当該規定の安定性が増している。同様に、本草案は書類の提出方法について、紙形式および電子ファイル形式の提出方法に関する規定も削除された。

受領日の確定について

前草案では「国際事務局は、知識産権局が受領した日から1カ月以内に出願を受け取った場合、知識産権局の受領日を国際事務局の受領日とみなす」とのみと規定されている。しかし、国際事務局は、システムフローの問題や、出願時における不備(例えば、非公式言語の使用、指定の欠落、図面の不足等)により、期限内に受領できない恐れがある。従って、前草案は「国際事務局は、知識産権局が受領した日から1カ月以内に出願を受領できない場合」を考慮していない。
それに対し、本草案では「2.2送付または不送付」節に「そうでない場合、国際事務局が実際に受け取った日を受領日とする」と補足した。出願時に不備がある場合について、国際事務局は、適正な補正書類を受け取った日を受領日とする。従って、出願日が遅延にならないよう、このような間違いは極力避けるべきである。
一方、本草案の改正は依然として矛盾を感じる点がある。例えば、上記の「2.2送付または不送付」節について補足したのに対し「2.3送付または不送付手続き」節の補正書類の取り扱いにおける「受領日の確定」については触れていない。

公告の効力発行手続きについて

前草案では「知識産権局は、国際意匠出願に保護の付与を決定すると、中国語で公告する。該意匠の専利権は、公告する日から中国において効力を生じる」としか規定されていない。それに対し本草案では、公告の内容、書誌事項の内容、意匠専利の単行本の内容などが詳細に記載され「知識産権局による公告後、出願人は、中国での保護の付与の証明として、知識産権局に対し、意匠国際出願専利登記簿の副本の発行を請求してよい」と明確化されている。このことから、本草案はより具体的かつ明確になっており、後に権利者の権利行使に有利である。

権利の中止および放棄

中国は審査機関として「ハーグ協定」に加入しているため、国際登録に関して、中国における保護期間が5年である。その後、更新手続きにより2回の延長が可能であり、最大で15年が保護される。よって、本草案では「規定に従って更新手続きが行われていない専利権は、中国での出願日から5年または10年が満了する日までとなり、専利権者が国際事務局に中国での権利の放棄を申し立てた場合、当該部分の権利放棄の発効日は、国際事務局が受理した日である。」と規定されている。この点について、商標の管理方法に倣って、更新期限の管理を設けるなどによって、専利権の早期終了の防止を多くの権利者に注意してほしい。

優先権の審査について

前草案では「出願人が優先権を主張する場合、国際意匠出願の国際公表日から2ヶ月以内に優先権主張に係る費用を国家知識産権局に納付しなければならない。期限を過ぎても優先権主張に係る費用を納付しなかった若しくは納付額が不足している場合には、優先権が主張されていないものとみなす」としている。中国国家知識産権局が2022年4月22日に公表した「ハーグ協定加入後の関連業務の処理に関する暫定弁法についての公告(第481号)」(以下「第481号公告」という)の第三条は、納付期限が3カ月である以外、上記と同様の記載である。
しかし本草案では、上記の記載を削除し「優先権を主張し、国際事務局により認められた国際意匠出願は、優先権主張に係る費用を徴収しない」と改正した。優先権主張は、国際事務局に出願すると同時に、審査機関による優先権の判断のために、優先権主張に関する書類の副本を提出する。中国を指定し、優先権主張している場合、国際出願の際に、優先権主張に関する書類の副本またはDASコードを提出する。前記の方法でない場合「第481号公告」の規定により、その出願の国際公表日から3ヶ月以内に、先の出願に係る書類の副本を国家知識産権局に提出し、優先権主張に係る費用を納付しなければならない。

一方、国際意匠出願の国際段階では優先権主張に係る費用を納付する必要がなく、知識産権局を通じて納付することができない。そのため、本草案の改正では、国内段階の移行における優先権主張に係る費用の納付を取り消す可能性があると明らかにしている。本改正草案は、まだ意見募集中であるが、今後、国内段階の移行における優先権主張に係る費用の納付を取り消していない場合、コストを抑える観点から、国際出願の際に、優先権主張に関する書類の副本またはDASコードを提出することを出願人に推奨したい。

証明書類の提出期限について

優先権主張の先の出願に係る書類の副本の提出期間および出願人の不一致に関する証明書類の提出期間は、前草案ではいずれも2ヶ月以内としているが、本草案では、提出期間がいずれも延長され「第481号公告」に規定された3ヶ月としている。

以上、2回の専利審査指南改正草案におけるいくつかの改正点について検討した。これらの改正から、中国の知的財産権の管理制度の少しずつの進歩を示しており、中国の専利審査制度に関わる国際社会とのより緊密な繋がりを反映している。第4回の専利法改正により「専利法実施細則」「専利審査指南」等の専利法規が早期に改正され、中国の知的財産法制度の更なる改善を期待している。

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